弊社が毎年末に実施している給与・昇給率調査。今年で6回目を迎える在ベトナム日系企業における給与・昇給率調査の結果から、最新のベトナムにおける給与や昇給率の動向についてお伝えしてまいります。
初回となる今回は、調査概要に加えて、テト迫る時節柄、管理者にとって最大の懸案事項とも言える昇給率とボーナス支給額についてまとめます。
調査概要
・調査期間
2014年11月24日~12月6日
・有効回答
企業数:178社、拠点数*:217拠点(北部:59拠点、南部:153拠点、その他:5拠点)
(※拠点数とは、同一企業がベトナム国内に複数拠点を構えている際の回答対象拠点総数のこと)
・回答企業内訳
<製造業>
21社:金属・非鉄金属・金型・金属加工・機械加工
17社:電気・電子機器・電子部品
7社:化学・薬品・石油・プラスティック・ゴム
9社:繊維・衣服・靴・文具
6社:食品・飲料
2社:その他製造業
合計62社
<非製造業>
27社:商社・輸出入
31社:IT ・ソフトウェア・情報通信・CAD
7社:卸売・小売
10社:物流・倉庫・旅客輸送
17社:土地開発・建築・建設・土木
12社:サービス(不動産・旅行・ホテル・飲食・教育・メディア・広告)
10社:金融・コンサルティング(会計・税務・法務・労務等)
2社:その他非製造業
合計116社
昇給率について
【昇給率の経年推移(中央値)】
(1) 2011年をピークとする昇給率の減少傾向継続
直近5年間の経年推移では、2011年をピークとして、今年も昇給率の減少傾向は継続しています。
(2) 社内のハイパフォーマーに対する昇給率を控える傾向
平均の昇給率は2015年予測も、昨年実績から横這いの10%である一方で、社内のハイパフォーマーに対する最高の昇給率で、昨年実績14%から12%へと更に減少。最高の昇給率については、前回調査時点の2014年予測では20%であったものが、今回調査の2014年実績では14%と予実比較で▲6%の下方調整が入りました。
(3) 実力で差がつく振れ幅は7%程度
2014年実績及び2015年予測ベースでも、最高と最低の昇給率の差=実力で差がつく昇給率の振れ幅は7%程度が相場感となっております。
(4) 昇給率が高い業界ランキングと昇給で差の出やすい業界ランキング
2014年実績ベースでの昇給率水準の高い業界ランキングでは、製造業で化学・薬品・石油・プラスティック・ゴムが、非製造業でIT・ソフトウェア・情報通信・CADが、ブルーカラーでは電気・電子機器・電子部品が1位にランクしました。
最高と最低の昇給率差が高い=実力差が出やすい業界としては、ホワイトカラー・ブルーカラーともに製造業では電気・電子機器・電子部品が、非製造業では金融・コンサルティングが1位となりました。
ボーナス支給額について
【ボーナス支給額の経年推移(中央値)】
(1) 2014年実績では昨対漸増するも、2015年は横這いか
前回調査の予測時点では、2014年のボーナスは横這いを予測しておりましたが、実績ベースで見ると、2013年よりは支給額が漸増する結果となったことが伺えました。一方で、2015年予測では、2014年実績からの横這い(管理職1.2ヶ月、ホワイトカラー1.2ヶ月、ブルーカラー1.1ヶ月)を各社が全職位に対して予測しています。
(2) ボーナス支給額の上限ラインはホワイトカラーで6か月分、ブルーカラーで4か月分程度
社内のハイパフォーマーに支給される最大のボーナス支給額の中でも、最も高額ボーナス水準となる企業の2015年予測のボーナス支給額動向としては、ホワイトカラーで月給の6か月分、ブルーカラーで月給の4か月分程度が上限ラインであることが分かりました。