2014-10-13

人事制度を構築する際のポイント

昨今、弊社では人事制度構築・ベトナムでの提供についてご相談いただく機会が増えています。

昨年末に実施した、弊社が毎年末に実施している在越日系企業給与昇給率調査においても、右肩あがり一辺倒だった昇給の動きが、部分的にマイナス成長を記録し始めるなど、ベトナムの労働市場の動きがより一層複雑化してきている事実が確認できています。

これは、評価できる人にはしっかり昇給し、いまいち評価できない人には昇給しない、又は、昇給幅をこれまでよりも縮小する、という措置を各企業がとりはじめていることの現れであると推察できます。

そうした中で、昇給額や率に社員間でばらつきがあっても、評価の違いの理由を社員に対して明確に説明できるように、評価制度をしっかり構築したいというのがよく頂くご相談です。ところが、評価制度というのは、人事制度全体の骨格をなす一部でしかありません。

しっかりとした評価制度を構築するためには、その前に、人事制度の背骨となる等級制度、そしてその等級制度に紐づく報酬制度の構築が必要です。

今回からは人事制度構築の重要ポイントを解説していきたいと思います。初回は、「等級定義書」を公開することの重要性についてまとめます。

 

等級定義書を作成し、社員に公開しましょう!

人事制度の中でも、社員に最もしっかり開示すべきものとして、「等級定義書」が挙げられます。何はともあれ、これから人事制度を整備しようと思われる企業においては、「等級定義書」を作成し、これを社員へ公表し、説明会を開くなどして、しっかり内容説明することが重要です。 

と言いますのも、ベトナム人の特に優秀層の最大の関心事は「キャリアアップ」ではないかと思われるほどに、優秀層の転職理由は「この会社に働き続けてもこれ以上、昇進できない」ですとか「これ以上、職責が広がらない、ゆえに学べるものがない」ということです。 

そのため、等級制度をしき、社内でのキャリアアップのロードマップを敷いてあげることはもちろんですが、それに加えて、
・どういうことをできる人材が等級1で、
・等級2になるためには、何ができなければならないのか、
・どういうことをできる人材が等級2なのか、

といった各等級の定義を明示することで、社内におけるキャリアアップをブラックボックス化させるのではなく、むしろガイドしてあげることがとても重要です。 特に、日系企業の中には、職務記述書がなかったり、あったとしても曖昧な記載内容であったり、自分の職務記述書はあるが、では次のレベルを目指そうと思ったら、何が最低限の要件なのか判然としないということもよくあります。 

これだと、「私は一生懸命働いているつもりなのに、会社は私を評価してくれず、いつまでたっても昇進しないので、外にチャンスを探したい」と考え、転職活動を始めるきっかけを与えることになります。
また、等級定義書に紐づく形で、最低限の昇格必要条件が何であるかを明示することも、エントリー~リーダーレベルに関しては、分かり易いキャリアガイダンスのために重要です。 

 

なお、ICONICでは、人事制度診断面談を受付けております。
「人事畑ではなかったのに、現地法人に着任してから人事も任せられることになって、制度設計面でこれでいいのか自信がない」
「一応、人事制度は作ってみたが、実際、ベトナムでの適用をするにあたって、法令面や慣習面で問題ないかどうかレビューして欲しい」
「人事制度をこれから構築するにあたって、参考となる他社事例が知りたい」
などのお悩みを抱えられている方は、是非、お気軽に以下のお問い合わせ先からご連絡ください。

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ライター

長浜みぎわ

長浜みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。 横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。2007年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。2010年、ICONIC取締役に就任。

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