2015-06-01

手当制度設計時の外せない注意点三ヶ条

今回は、ベトナムにおける手当制度を整備する上でのはずせない注意点「三ヶ条」を以下にまとめます。

 

1.生活配慮目的の手当は、職位や職能に関わらず、一律支給する。

一口に手当と言っても、その手当の支給背景は様々あります。例えば、昼食手当や通勤手当、住宅手当などの生活配慮目的の手当であれば、職位や職能によってコストが変わるものでもないため、会社が生活物価状況などから判断し、月額を固定して、全社員へ同額を一律支給するという運用に納得感があります。

一部、通勤手当については、郊外立地のオフィスや工場の場合は、一律固定額を支給するというより、むしろ、通勤距離に応じて支給額を変動させる仕組みとすることも有りますが、市内立地のオフィスの場合は、固定額の一律支給が一般的です。生活配慮目的の手当は、その支給背景からしても、生活物価の変動に応じて、毎年、適正価格になっているかどうか、見直しをかけるべき対象となります。

 

2.職位や職能見合いの手当は、レベルに応じて支給額を査定する。

一方で、役職手当や言語能力手当、資格・技能手当などは、その職位や職能を保有する社員の該当職位や該当する職能のレベルや難易度に応じて支給額に変化をつけて支給することによって、職位や職能の更なる向上意欲を後押しする設計とするのが一般的です。

例えば、役職手当であれば、リーダーに対する役職手当額とスーパーバイザーに対する額とでは異なる支給額となりますし、日本語能力がN3レベルの社員とN2レベルの社員とでは日本語能力手当の支給額が異なった方がむしろ社員にとっても納得感があり、社員の向上心を掻き立てることにも資すると考えられます。

ただし、支給額の差をつける場合は、差額のロジックが明確に示せないと、社員からの不信感をかうことになりかねませんので、どのレベルに対していくら、という基準を事前に明示することが大前提となります。

 

3.業務上のコスト見合いの手当は、必要職種にのみ支給する。

例えば、通信手当や(業務上で個人のバイクを利用させる場合の)ガソリン手当などは、業務上のコスト見合いの実費補完という本来の支給背景がありながらも、業務上で個人所有の携帯電話やバイクを利用しない社員にも一律支給しているケースが稀にあります。

この状況は、個人所有の携帯電話やバイクを利用している社員からすると、自分の持ち出し分を会社が実費補完するという本来の支給意図とは裏腹に、個人所有の携帯電話やバイクを利用していない社員は実費分のマイナスがないにも関わらず「お小遣い」的収入を得ているのに、自分は「実費見合いしか貰えていない」という、手当支給の本来的な意図を曲解する方向へ社員感情を誘導しかねない可能性をはらんでいます。

従って、実費見合いの手当は、実際に社員の持ち出しコストが発生している部門に限定して支給するという、支給意図と実際の支給額との整合性をとった支給の仕方が重要です。

 

なお、弊社の昨年度における在越日系企業給与昇給率調査報告書には、手当制度の導入状況という特集がございます。
ご関心をお持ちでしたら、以下の連絡先からお気軽にお問い合わせください。

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ライター

長浜みぎわ

長浜みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。 横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。2007年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。2010年、ICONIC取締役に就任。

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