2017-04-27

人事制度は、何のために作るの?

こんにちは。
ICONICで人事労務コンサルティングを担当しております長浜です。

ベトナムを始めとして、東南アジア全域で人事制度設計に関わり始めて早4年。

人事制度構築をされたいと思われるマネジメントの皆様の動機にはさまざまな違いがありますが、究極的に目指されている制度改革の目的は、各社とも同じ北極星を目指していると感じます。今回は、その北極星が何なのか、「人事制度は何のためにつくるのか」について、まとめたいと思います。

 

人事制度構築の目的

会社方針に沿った人材で組織構成するため
 (より具体的には、人材のリテンションや適度な新陳代謝を通じてこれを実現する)

そのために…会社から社員への期待値の明確化
・短期の視点:年度の人事考課の視点と基準(会社はどういう人材を評価したいのか)を明確にする
・中長期の視点:自社で描くことのできるキャリアパスとキャリアアップの要件を明確にする
 
適正人件費予算内での会社運営をするため
・短期の視点:その年々の労働市場動向に照らして適正な昇給予算をとり、その予算内で昇給運営する
・中長期の視点:将来的に描く賃金カーブからの逆算で等級毎の給与水準の上下限管理をする

 

社員に「納得感」をもってもらうために大切なこと

以上の目的を実現するためには、社員に「納得感」をもって新制度を受け入れてもらう必要がありますが、ベトナムやインドネシアにおいて、社員に「納得感」をもってもらうために外せないポイントをまとめます。 

公平性の担保
・昨年対比の公平性:毎年一貫したルールやロジックのもとに人事制度を運営する
・競合対比の公平性:社内のバランスだけでなく、社外環境にも目を向け、労働市場動向から自社だけが乖離しすぎないように制度調整を怠らない
・同僚対比の公平性:社員間で査定の甘辛や処遇反映の不公平が出ないようにルールを整備する
 
システムの連動
・等級制度と評価制度の連動:各等級への期待事項と評価項目を統一する
・評価制度と報酬・等級制度上での処遇反映(昇給・賞与・昇格・育成)の連動:得られた評価結果に基づいて処遇反映を決める(評価は評価、処遇は処遇と切り分けない)
 
信頼関係ある上司からの新制度解説
制度だけ、人間関係だけのどちらか一方ではスムーズに運用に乗らないのが人事制度の難しいところです。
「人間関係良好だから制度はいらない」では、そのうち綻びが出始める。一方で、「制度を作ったはいいが、社員に受け入れてもらえない」では、運用に耐えません。
作った後に、その背景にある想いや方針まで含め、日ごろから信頼関係のできている上司が制度をしっかり理解し、自分事として熱く語ることで、社員の「納得感」は各段にあがるものです。中間管理職層の方々に、部下に語れるくらい新制度をしっかり理解してもらうことが大切です。

横浜国立大学卒業後、経営コンサルティング企業で中小企業の新規事業支援を担当。2006年よりJICAウガンダで職業訓練校を調査し、2007年にベトナムの三井住友銀行ホーチミン支店で法人営業を担当。2010年からICONICにて主に組織人事コンサルティング事業の立ち上げに従事し、支援した人事制度構築プロジェクトは150件超。2023年、ICONICベトナム法人のGeneral Directorに就任。

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