2017-07-04

人の善意に頼り過ぎない人事制度設計

こんにちは。
ICONICで組織人事コンサルティングを担当しております長浜です。

人事制度を設計するフェーズと設計した制度を運用するフェーズ。気持ちよく運用したいなら、設計時点では、過度に人の善意を前提とし過ぎない方がうまくいくと感じます。

今回は、気持ちよく制度運用できるためのポイントをまとめます。

 

お人好し過ぎは禁物! 有事を想定して制度設計しよう!

「制度設計」と言うと難しく聞こえますが、分かりやすく言い換えると、「制度設計=ルール作り」であると言えます。

スポーツの勝敗を分けるのに必ずルールや判定基準があり、またその結果に基づいて、報奨金やランキングの昇降ルールが存在するように、ビジネスの場面でのこうしたルールがそれぞれの会社の人事制度となって具備されています。
当然ながら、社内の同僚とはいえ各個人や組織の利害関係に直結する話なので、制度がなかったり、あったとしてもはっきりしていないと、それぞれがそれぞれの立場で「都合の良い解釈」をして小競り合いになってしまう元凶ともなりえます。

そのため、制度設計をする立場にある人は、明確で、リーズナブルで、公平なルールをしいて、小競り合いの元凶をなるべく絶つようにしたいと考えます。
ただ、そのためには、設計フェーズでは「お人好し」すぎてはいけない、ともいえます。
平常時には問題なくとも、人が悪意をもってしまったり、会社方針に背きだした場合や、社内で敵対的な関係が発生してしまうなど、有事も想定してなお、機能できる制度になっているかどうか、という視点でのチェックが必要です。

有事に制度が濫用されるのか、有事だからこそ、制度を機能させて会社を正常な状態に戻す強力な後押しとなりえるのか。この違いを作るものこそ、設計時点の前提として、人の善意に頼り過ぎず、有事をしっかり想定することであると感じます。

 

人の善意に頼り過ぎない制度設計とは?

 Logic Driven
感覚に頼らずに、自社にとって重要な視点を整理し、適切な重みづけを行って、結果としてはじき出した数値をルールに基づきしっかりと処遇反映や育成に使う。

(ありがちな失敗例)
→感覚で昇給をした結果、課長補佐と熟練工員の給与水準が同レベルになってしまった。

 

Market Driven
感覚や、ちょっとした見聞き、自社人事社員からの情報だけに頼らず、客観的な労働市場や競合他社に関するベンチマーク情報を入手し、こうしたデータをもとに、制度設計の肝となる指針やターゲットレートを判断する。

(ありがちな失敗例)
→インセンティブ導入が進んでいる業界でインセンティブのない報酬制度で進出し、優秀人材が離職し、優秀じゃない人材が定着してしまった。
→「他社は全て◯◯手当支給してますよ」という人事社員報告のみを信用して手当付与過多になってしまった。

 

Document Driven
制度やルールを構築したら、それを見える化してドキュメントに落とし、これを公式な書面ベースで社内展開して、ルールに権威を持たせる。口頭説明や口頭注意では誰も動かない。

(ありがちな失敗例)
→「言ったじゃないか」「そんなことくらい分かるだろう」というだけでは全く通じない(「ここに書いている通り…」へ)

横浜国立大学卒業後、経営コンサルティング企業で中小企業の新規事業支援を担当。2006年よりJICAウガンダで職業訓練校を調査し、2007年にベトナムの三井住友銀行ホーチミン支店で法人営業を担当。2010年からICONICにて主に組織人事コンサルティング事業の立ち上げに従事し、支援した人事制度構築プロジェクトは150件超。2023年、ICONICベトナム法人のGeneral Directorに就任。

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