2018-04-10

ベトナムでの労働災害・職業病における雇用者の責任

今回は、ベトナムにおける労働災害・職業病の被災労働者に対する雇用者の責任について、ベトナム労働安全衛生法の規定に基づきご紹介します。

 

ベトナムにおける雇用者責任の概要

1. 被災した労働者の迅速な応急処置及び、応急処置・治療に係る費用を立て替える

2. 応急処置から治療までの費用について以下のとおり負担する
 a. 医療保険の加入者に対する、医療保険の負担費用一覧に該当しない費用
 b. 労働能力の喪失率が 5%未満の場合における労働能力喪失率検査の費用
 c. 医療保険の未加入者に対する全ての医療費

3. 治療やリハビリ期間中に欠勤した被災労働者に給与を十分に支払う

4. 労働者本人の過失によらずに被災した場合、労働能力喪失率に応じて、以下の賠償を行う。
 a. 喪失率 5~10%の場合  → 給与の1.5ヶ月分以上
   喪失率 11~80%の場合 → 給与の1.9~29.5ヶ月分以上(喪失率 1%当たり給与の0.4ヶ月分増額)
 b. 喪失率 81%以上または被災労働者が死亡した場合 → 給与の 30ヶ月分以上

5. 労働者本人の過失によって被災した場合は、上記4の40%以上の賠償を行う
 ※上記3~5の「給与」とは、労働に関する法律における、基本給、手当、及びその他追加支給額を含む

6. 被災労働者が法に従い、労働能力喪失率検査、治療、介護、リハビリが受けられるように勧める

7. 労働能力喪失率の医学鑑定評議会が結論を出した時点から、あるいは、死亡事故について労働災害の調査団が調査記録書を公表した時点から 5 日以内に、被災労働者に賠償及び手当給付を行う

8. 治療およびリハビリ後に業務を継続する労働者に対して、労働医学鑑定評議会の結論に基づき、健康状態に適した業務を手配する

9. 労働災害・職業病の保険制度適用申請書類を作成する

 
以上が雇用者責任に関する概要です。

最近では、福利厚生としての保険制度を見直したい…といったご相談を受けることが増えてきたため、社員向け保険の導入に関するサポートも開始いたしました。
弊社サービスにご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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ライター

前田純

前田純

ICONIC 組織人事コンサルティング部。名古屋大学を卒業後、日本の会計事務所にて約4年間、中小企業の会計・税務といった「カネ」に関する業務を行う。その後、「モノ」を扱う製造業を経て、2015年よりベトナムへ進出。ICONICにてベトナムにおける人事労務に関する業務を行うことで、世の中の「ヒト・モノ・カネ」について国内外を通して経験。

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