2025-08-14

【ベトナムでの人事に悩まれている方へ】人事課題が複数あるとき、問い直すべきこと

ベトナムで採用・育成・定着など、複数の人事課題が同時に表面化することは珍しくありません。本日は、そうした場面で問い直すべき視点について、事例を交えながらお伝えします。


⒈ 複数の人事課題、その背景にある共通の原因


採用がなかなか決まらない。
育成が思うように進まない。
優秀な人材が定着しない。

こうした課題が同時並行で起きることは、珍しくありません。

現場では「採用チャネルの拡充」「研修の実施」「上司と部下の1on1面談の充実化」など、課題に直結して思いつく施策を打つことが一般的です。もちろんこれらは重要です。

しかし、目の前の課題対応だけで終わると、根本的な解決に至らず、同じような問題を繰り返すことも多いのが実情です。

実は、こうした複数の人事課題の背景を深掘りすると、人事制度設計そのものに原因があるケースが少なくありません。


⒉ 人事制度に起因して起こりやすい人事課題の例


採用では、条件面や仕事内容は合意できても、候補者の希望給与水準が同等レベルの既存社員の給与と大きく乖離し、社内調整が難航するケースがあります。これは一見採用条件の問題に見えて、実は給与体系や等級制度の設計と密接に関係しています。

育成では、「何ができるようになれば次のレベルに昇進できるのか」が明確でないため、育成計画が立てづらく、結果として育成が進まないことがあります。これは評価制度や職務定義の不明確さと関係しています。

定着では、優秀な人材が辞めてしまう一方で、組織内で役割を果たしきれていない人材が長くとどまり続けることがあります。こうした状態は組織力を低下させ、その背景には成果や行動が適切に評価・反映されていないことが多くあります。

さらに言うと、これらの課題が複数同時にあらわれる背景には、「人事制度の目的や設計思想が曖昧」「制度が古く、今の組織の役割やミッションと合っていない」「ベトナムの労働市場特性や労働観に適していない」など、制度設計そのものに起因する問題が潜んでいることも多くあります。


⒊ 人事制度改革の肝は「課題の見極め」と「進め方」


人事制度改革の目的は、「給与表」や「評価シート」をそろえることでも、既存の制度を単に変えることでもありません。

大切なのは、何が制度上の課題かを正確に見極めること、そしてどの部分はうまく機能しているかを把握し、良い部分はしっかり残し、課題のある部分だけを的確に見直すことです。

そのうえで、どの順番で、誰を巻き込み、どんな見直し策を進めるか。この進め方の設計こそが成否を分けます

この課題の見極めと進め方の設計が的確にできれば、人事制度は「形だけの書類」ではなく、組織の意思を日々の社員の行動にまで浸透させるための強力なツールになります。


こうした視点に基づいて、本気で人事制度を見直したい方を対象に、「人事制度上の課題をどう見極め、どう成功裏に制度改革プロジェクトを進めるか」をテーマとした無料ウェビナーを開催します。

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横浜国立大学卒業後、経営コンサルティング企業で中小企業の新規事業支援を担当。2006年よりJICAウガンダで職業訓練校を調査し、2007年にベトナムの三井住友銀行ホーチミン支店で法人営業を担当。2010年からICONICベトナム法人にて組織人事コンサルティング事業の立ち上げに従事し、支援した人事制度構築プロジェクトは150件超。2023年、ICONICベトナム法人のGeneral Directorに就任。賃金管理士。ISO30414リードコンサルタント/アセッサー。

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