前回に引き続き今回も、評価制度構築の進め方について、話を続けて参ります。
今回は評価項目の具体的な設定方法の最終回として、最近の新潮流として注目され始めている行動指針評価項目に焦点をあて、具体的な評価項目の立て方や運用上のポイントを考えてみます。
行動指針評価項目は、自社のミッションやビジョンから具体的に落とし込まれた自社社員として遵守すべき行動指針の遂行度合いを評価対象とすることで、自社に相応しい振る舞いや行動ができる社員の育成を目的として、昨今、一部の企業で導入され始めている新しいタイプの評価項目です。
これは、どんなに成績優秀者で、職務遂行能力が高かったとしても、会社が自社社員に期待する「自社らしさ」を実現するための行動をとることに協力的でないならば、人事評価結果を毀損する要因となることを明示的に伝えることで、社員のそれぞれの「自社らしさ」が高まる具体的な行動を取らせることを目的としています。
こうした評価項目は、経営本部のあるお膝元の拠点では、日常的な運用に現実味がありますが、本社から遠くはなれた海外の現地法人だと、単に本社から送られてきたポスターが社内に張り出されているだけ、、、その意味をローカル社員は誰も理解していない、、、それが遵守すべき行動指針であることをそもそも誰も理解していない、、、という状況に陥ってしまうことも少なくありません。
その場合、本社が設定する行動指針をこうした期末の人事評価に落とし込んで定期的に査定される対象とすることで、社員への浸透を図っていこうとするケースと、現地法人での運用に本社の行動指針をそのまま流用することに現実味が見出せないと判断する場合、現地法人社長が考える現地法人社員向けの行動指針を整備してこれを評価項目に落とし込むケースの大きく2つの方針で運用されていることが多いです。