前回は能力・行動評価項目の設定方法について書きましたが、今回は、情意評価項目に焦点をあて、具体的な評価項目の立て方や運用上のポイントを考えてみます。
あまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、情意評価項目の「情意」とは、社員の勤務態度やモチベーションを評価対象としようとする項目群になります。
情意評価項目として旧来からよく日系企業で使用されてきている項目の代表例としては、以下4つの視点が挙げられます。
①規律性
②責任性
③積極性
④協調性
これは、旧来から日系企業が理想的な社員の勤務態度として求めてきた項目ではありますが、当然ながら、この4視点に捉われることなく、自社として社員にどういった勤務態度を求めたいのか、どのような勤務態度の社員が自社にとって「良い社員」なのか、ということのブレイクダウンを情意評価項目として設定し、自社の言葉で「良い社員」を語れることが重要です。
また、情意評価項目の運用上の肝は、項目を抽出して設定するということよりもむしろ、「設定した情意評価項目ごとに、どこまでできたら10点でどこまでできたら5点なのか」といったような評価基準書の整備の方にあります。
というのも、情意評価項目は社員の勤務態度といった抽象的かつ定性的な事柄が評価対象となるため、評価項目自体も抽象的で定性的な項目になりがちであり、具体的な評価基準がなければ、評価者によって見解が大いにぶれる危険性を孕んでいます。
また、同時に、評価基準の具体的な定義づけとレベル展開を会社として社員に見せてあげることで、社員は会社が具体的にはどのような勤務態度を求めており、評価対象とみなしているのかが分かりやすく、自身の勤務態度を正しい方向性で改善しやすくなります。
次回は、評価項目の具体的な設定方法の最終回として、最近の新潮流である行動指針評価項目の具体的な設定方法について解説します。