こんにちは。
ICONICの組織人事コンサルティング部門の増田です。
前編のブログに続き、「主体的な社員を育てる」をテーマにお送りします。
前編は、親会社の大幅な戦略変更に伴う現場リーダーのモチベーションダウン及び離職に悩むA社の現状と、「主体性を発揮するために必要な条件」についてご紹介しました。
今回は、実際にA社が導入した施策について、前編の「主体性を発揮するために必要な条件」に沿って見ていきたいと思います。
実際にA社が導入した施策
まずは親会社の出向者から現場リーダーに対して、親会社が考えるグループ戦略を説明し、その目的を理解してもらう場を作るところからスタートしました。(条件その1:目的が明確に共有されていること)
グループ全体の戦略変更や、その戦略実現における現場リーダーの日常業務の重要性が伝わっていないことが真因だと考えたためです。目的が伝わらず、ただ作業レベルの変更だけがどんどんと押し寄せてくる。これほど辛いことはないですよね。
ただし、それだけではその戦略が自分たちにどう影響するのかを実感できないため、戦略を自分の業務まで落とし込み、その中で自分たちが考える今やるべきことをマネジャー陣に提言し、マネジャー陣がその提言に優先順位をつける、という時間を設けました。(条件その2:権限を付与されていること、条件その3:十分な時間が確保されていること)
その後、再度リーダー陣に集まってもらい、具体的にどのように現場で実現させていくかを検討し、現場で実践していくことで、「こんな工夫をしたらどうか」といった提案も自発的に上がってくるようになりました。
A社とは、戦略共有や戦略を業務に落とし込む研修に加え、その後の現場のオペレーション改善や、現場リーダーの会議運営などでお手伝いさせていただきました。この事例を通じて、私が改めて感じたことは以下のようなことでした。
・経営者から末端の社員まで、会社が好きで会社を良くしたいと考えている人がほとんど
・ただし階層によって見える世界が異なる(組織の溝がある)ため分かり合えないことがある
・上位層が「伝えた」と思っていることの大半は下位層には伝わっておらず、しつこく伝える必要がある
・今やっていることの意義と、自分たちができる範囲を示してあげれば、社員は自然と主体性を発揮する
まとめ:主体性を発揮させるために上司がやるべきことは…
社員に主体性の発揮を求めながら、いつも業務指示ばかりだしている、という管理者は意外と多く見受けられます。社員に主体的に動いてもらうためには、目的を共有した上で、彼ら自身に考える時間と挑戦してみる権限が必要です。そして、失敗しても挑戦したことを称賛する風土、これがなければ、主体的な社員は生まれません。
まずは上司であるあなたが、この会社で何を成しえたいと考えているのか、その具体的なゴールを社員と共有するところから始めませんか?