2018-07-19

【シリーズ②】ベトナムではなぜ、日本の人事制度をそのまま使えないのか?~その国の労働市場の相場観を反映すること~

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日本に本社がある企業様で、日本で使用している人事制度をそのまま翻訳して、ベトナム現地法人でも使っている方はいらっしゃいませんか。

この場合、往々にして「表現が抽象的過ぎて伝わらない」「基準が曖昧」「昇給や昇格スピードが、当地の労働市場対比すると遅い」などの不具合に直面します。
国が違えば、社員の感覚も違うであろうことは気づきながらも、人事制度設計の専門知識が十分でないために、「とりあえず本社の制度をそのまま翻訳して使っておこう」という選択をされているケースをよく目にします。
ベトナム人社員にも納得感が感じられるような人事制度に昇華させるためには、何をどうローカライズしていけばよいのでしょうか。

弊社にご相談くださる企業様の多くが直面されているこのテーマについて、全5回のシリーズに分けてポイントを解説します。

 
今回取り上げるローカライズの視点は、第2回「その国の労働市場の相場観を反映すること」です。

 

なぜ“労働市場の相場観の反映”が必要なのか?

人事制度の骨子自体は、そこまで多様性があるものではありませんが、ターゲットレート設定や、当地市場での「標準者」をどう捉えて標準者モデルを設定するかで、制度の競争力が劇的に改善したり悪化したりします。
時には骨子は素晴らしいものの、レート設定に失敗して、競争力を全く欠いた結果に苦しんでいるケースや、短期的な競争力だけでレート設定をして、勤続が長くなるに応じて、相場を遥かに超過した賃金水準に陥ってしまっているケースなど散見されます。常々、相場観を見ながらの賃金管理が大切です。

 

具体策の事例

以下のような視点で自社水準と労働市場水準を比較検証し、その市場で実現したいポジショニングを射抜けているかどうかチェックする必要があります。

・役職や職種毎の給与水準
・手当の種類や手当額の水準
・昇給額/率の水準
・ベースアップ額/率の水準
・賞与カ月数の水準
・標準的な昇格スピードの水準
・福利厚生プログラムの水準
・その他、トータル報酬設計に影響を与えうる項目など

以上がローカライズ視点における概要です。

横浜国立大学卒業後、経営コンサルティング企業で中小企業の新規事業支援を担当。2006年よりJICAウガンダで職業訓練校を調査し、2007年にベトナムの三井住友銀行ホーチミン支店で法人営業を担当。2010年からICONICにて主に組織人事コンサルティング事業の立ち上げに従事し、支援した人事制度構築プロジェクトは150件超。2023年、ICONICベトナム法人のGeneral Directorに就任。

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