人材開発そのものは現代でも有効なアプローチですが、組織開発とは着目点が異なっており、両者を組み合わせることが必要であると考えられています。今回は、組織開発の目的について、ご説明します。
まず、従来の手法と組織開発の違いはどこにあるのでしょう? 組織開発とは、個人間の関係性にアプローチすることで組織を活性化し、個人の能力を引き出そうとすることを前回ご説明しました。そのため、組織開発では、人事に求められる役割が従来の業務と大きく異なります。
人材開発では、役割に応じたスキル要件を満たすために、階層別研修などの場に社員を参加させます。いわば、人事側の領域に社員に来てもらう形式が中心でした。これに対して組織開発では、人事が実際の業務の現場に飛び込みます。組織内の会議体など、事業側のリアルなコミュニケーションの場で人事が存在感を発揮し、変化をもたらすことが求められます。
当事者間のコミュニケーションに対して適切な働きかけを行い、当事者に自らの気づきを与えます。組織開発の目的を一言で表すならば、「組織が環境に適合しながら変革し、健全に、効果的に機能するようにすること」であると言えます。では、どのように組織開発を進めればよいのでしょうか? 一番恐れるべきことは、環境変化が目まぐるしい中にあって、「何もしないこと」です。気づいた時には修復困難。そんなことにならないように「とにかく始める」をお勧めします。次回のコラムでは、組織開発アプローチについてご説明いたします。