2016-11-16

基本給はどう決めるか? ~賃金移行シミュレーションと移行法~

こんにちは。
ICONICで人事労務コンサルティング部門を統括しております長浜です。

最近、ベトナムでの人事制度構築についてご相談を頂く機会が増えています。
その中でも、マネジメントの頭を悩ます人事制度まわりのトピックスであり、求職者の方にとっても気になる、「基本給」についてご紹介します。

前回まで、基本給の賃金テーブル設計をガイドしてきましたが、こうして試作した賃金テーブルが、制度移行するとはいえ、あまりにも現行給与から乖離しすぎていないかチェックする必要があります。今回は、ドラフト案の賃金テーブルの移行シミュレーションの進め方について解説してみます。

 

賃金移行シミュレーションの進め方

基本給(年齢給+職能給で基本給を構成するケースを例にとる)の各種賃金テーブルが引けたら、以下の計算式にあてはめて、各社員に新人事制度上で想定する等級の下限額と上限額の範囲内に、当該社員に想定される職能給額が納まっているかどうかをチェックします。

 

Step1:以下の式でXを計算

【現給与総額】-【新年齢給】-【新手当総額】=【想定される新職能給(=X)】

 

Step2:以下の式が成立するかチェック

新等級の職能給下限値 ≦ X ≦ 新等級の職能給上限値
・成立する→(ほぼ)差額なく移行できる
・成立しない→移行にあたり現給与との差額が発生する → Step3へ進む

 

Step3:どちらの式が成立する検証し、制度移行のための経過措置をとる

X-新等級の職能給上限値=Y>0 →これが成立するなら「Y=調整手当」としてたてる
新等級の職能給下限値-X=Z>0 →これが成立するなら「Z=移行原資」として認識し切り上げる

なお、移行原資の切り上げは、理想的には制度移行のタイミングで一気に切り上げて解消するのがベストだが、人件費予算の急激な増加を受け入れられないという場合は、数年かけて段階的に切り上げる措置をとることもありますので、自社事情に合わせていかに切り上げるかを検討するのがよいでしょう。

以上の手順を図解すると以下の通りです。次回は、調整手当と移行原資の解消法について解説します。

賃金シミレーション

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ライター

長浜みぎわ

長浜みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。 横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。2007年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。2010年、ICONIC取締役に就任。

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