2016-10-18

基本給はどう決めるか? ~賃金構成と昇給方法~

こんにちは。
ICONICで人事労務コンサルティング部門を統括しております長浜です。

その中でも、マネジメントの頭を悩ます人事制度まわりのトピックスであり、求職者の方にとっても気になるのが「基本給」。
そこで今回は、ベトナムでの基本的な賃金構成と昇給方法についてご紹介したのち、基本給の性格を決める要因についてまとめます。

 

基本の賃金構成と昇給方法

1. 基本の賃金構成
賃金は、その支払い頻度や金額の変動性、支払い目的等によって、性質の異なる各部分を累積して総額を構成するようにできています。一般的なベトナムにおける賃金体系はざっくりと以下の図のような構成をしています。

一般的なベトナムにおける賃金体系

要するに、「賃金=月例賃金(基本給+手当)+賞与」で構成されており、それぞれの賃金構成要素の役割の違いは以下の通り整理できます。

賃金構成要素の役割の違い

2. 基本の昇給方法

中でも特に、固定性の月例賃金部分は、社員にとっては日々の生活の主たる収入源となること、会社にとっては固定の人件費として支出をコミットしなければならないことから、特に熟慮の上での賃金設計が求められる部分です。この部分については、少なくとも年に1度の昇給査定が約束されている会社が多いため、ここでいう賃金設計とは、つまるところ昇給設計(昇給テーブルの設定とその運用ルール組み)にほかなりません。

ひとくちに「昇給」と言っても、上図にまとめたように様々な昇給方法がありますが、昇給ルールの根幹をなすのは①習熟昇給、②昇格昇給、③自動昇給の3つであり、これらの組み合わせで効果的な昇給ルール組みをしていくことになります。この3つの昇給方法の違いを以下に整理します。

①習熟昇給、②昇格昇給、③自動昇給の3つである

 

基本給の性格を決める要因

賃金制度設計にあたり、一番最初に決めるのは基本給体系です。順番として、手当や賞与は基本給設計後に着手することになります。

さて、自社の基本給の性格を決める要因としては、大きく4つの視点があります。基本給設計に先駆けて、以下4点をまずは検討してください。

① 何に対して基本給を払うか
主な基本給の類型としては、以下のように整理できます。どの類型が良い悪いではなく、どの考え方が自社の考え方に最もフィットするかで類型を決めます。また、類型は必ずしも1つに限定する必要はなく、複数類型を複合した基本給構成(例として、職能給+年齢給の二本立て等)とすることもできます。

主な基本給の類型

② 定期昇給の有無
昇給タイミングの設定を、定期的(例えば年に1回)にするか、不定期的(特別昇給)にするか。ベトナムでは、通常、基本給は定期昇給がベースとなります。

③ 査定の有無
定期昇給を、査定昇給とするか、自動昇給(査定無しの昇給)とするか。一般的に、職能給や職務給を採用する場合は査定昇給とし、年齢給を採用する場合は自動昇給とすることが多いです。複合的な基本給構成にする場合は、これらの昇給スタイルを部分的に適用し、併用をすることとなります。

④ 昇給ベクトル
最後に、どのようなベクトルで昇給させるかを検討します。昇給ベクトルとして考えられるのは、基本的に以下の3パターンですが、このうち③のパターンは、ベトナムでは合法性の観点から、運用しにくいことに留意が必要です。

昇給ベクトル

 

何に対して基本給を支払うか、定期昇給の有無、査定の有無、昇給ベクトルについての方針を決めたら、次回は、実際に基本給ピッチの設計作業に入っていきます。

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ライター

長浜みぎわ

長浜みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。 横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。2007年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。2010年、ICONIC取締役に就任。

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