2014-07-03

その賃金テーブル、大丈夫ですか?

こんにちは。ICONICで人事労務コンサルティング部門を担当しているみぎわです。

今回は、昨今お問い合わせの多い賃金テーブルについて考えてみたいと思います。「賃金テーブル」と一言に言っても、ヘルスチェックのポイントは多岐に渡ります。

 

1.「賃金テーブル」は機能していますか?

まず、そもそも、「賃金テーブルなどない」「登録ベースの賃金テーブルはあるが、登録後はお蔵入りしていて、実際に運用しているものはない」とおっしゃる企業様もいらっしゃります。しかし、悩み多き賃金周りにあって、機能する賃金テーブルほどマネジメント側にとって重宝するものはないとも言えます。

機能する賃金テーブルが手に入ると、毎回の新入社員の採用や既存社員の給与更改に際して、値決めで悩む時間が10分の1くらいに短縮するでしょう し、値決め自体を中間管理職層にある程度移管することもできます。対従業員での給与額の違いに対する説明をしなければならない局面でも、骨子となる賃金 テーブルに基づくのと基づかない説明では、従業員側の納得感にも雲泥の差が出ます。

と言う訳で、そもそも実際のマネジメントツールとしての「賃金テーブル」を設定する上で、最低限注意したいポイントをまとめたいと思います。

 

2.相場感の上下20%圏内に入っていますか?

賃金テーブルを設定する際に大事なことは、マーケットの相場感をベンチマークすることです。相場感から逸脱して低い賃金テーブルだと、「採りたい人材を採用できない」「優秀人材から流出していく」という悩みに遅かれ早かれ直面し、気づいた時には人材力の乏しい企業になってしまっていた、ということがあります。

逆に、相場感を逸して高い賃金テーブルだと、「人件費がだぶついて困る」「高い給与に安住して、更なる業務改善努力が見られない」という悩みを抱えることもあります。

一般的には、ターゲットゾーンとして、相場の中央値の上下20%圏内に収まっているかどうかチェックするといいでしょう。その中で、「自社としては人件費に投資をしてでも優秀な人材層を採っていきたい」ということであれば、中央値から+20%程度までを目安にレンジを上げていきます。

一方で、「自社としては人件費予算は変えられえないので、予算の中で、出来る限り優秀な人材を採っていければいい」ということであれば、中央値から-20%程度までを目安にレンジを下げていきます。

 

3.標準滞留年数と標準昇給率で理論下限値を設定してみましょう!

標準滞留年数とは、その名もズバリですが、標準的なパフォーマンスの人材であれば、その等級に標準的に何年滞留するかという年数のことです。これは 固定的な年数ではなく、あくまで指標として「一般的に何年くらいか?」という程度で十分です。

まず、この、標準滞留年数を、現在社内に存在する全ての等級 に対して考えてみてください(そもそもその標準滞留年数の設定がベトナムにおいて妥当か?という話は別の機会に譲ります)。もし、「自社には等級制度がま だない」という場合は、仮にでいいので、現在いる全従業員を職務レベルごとに階層分けしてみて、分かれた各階層ごとに標準滞留年数を考えてみてください。

一方で、標準昇給率ですが、過去3年程度の自社の標準的な昇給率が何%程度であったか計算してみてください。もし、「立ち上げたばかりの企業で、過去の昇給率実績がない」という場合は、弊社が毎年末出しているような昇給率レポートの結果などを参考に、標準昇給率の値を設定してみてください。もし、そういった情報さえない場合は、ベトナムにおいては、仮に10%としておくといいでしょう。

この2種類の値を使って、相場をベンチマークして設定した最低等級の上限-下限レンジのうち、下限額に標準昇給率を標準滞留年数分乗じていくことで、最高等級までの理論下限額を設定してみてください。

あくまで理論値ではありますが、こうして賃金テーブル設定時の参考となる理論下限額が見えてくること、「じゃあ、スタッフから中間指導層に昇格する タイミングで、下限をぐっと上げることで、職層ごとの給与のメリハリを効かせて、昇格のインパクトと昇進意欲を喚起しようか」などの検討ができるベースに なるものです。

 

是非、漫然と値決めするのではなく、ものさし的な理論値を見ながら、自社としてどういう給与水準にしたいのか、ということを改めて考える機会にしてはいかがでしょうか?

次回も引き続き、賃金テーブル設定のポイントについてお話して参ります!

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