2025-07-31

専門職人材に選ばれる報酬制度とは?

~採用・定着・モチベーション向上につながる設計のポイント~

近年のベトナムでは、スマートファクトリー化やAI・機械学習といった先端技術の導入が進み、高度な専門スキルを持つ人材の需要が急速に高まっています。

こうした人材を「採用し、定着させ、モチベーション高く働いてもらう」ためには、評価制度やキャリアパスだけでなく、専門職の特性に応じた報酬制度の設計が不可欠です。

本記事では、専門職人材にとって魅力的な処遇を実現するための制度設計の視点を、実務的に整理しました。


1. 「基本給レンジ」を職種別に最適化する


日系企業では、全職種共通の基本給スケールを運用するケースも多々見られますが、ベトナム全体で見ると、職種に応じた給与レンジの使い分けは一般的です。

特に専門性の高い職種においては、一般的な職種とは異なるレンジを設定することで、採用競争力やモチベーションの向上に直結します。

導入にあたっては、以下の観点での検討が有効です。

  • どの職種には別スケールを設けるか?
     → 市場での希少性、業務の複雑さ、組織目標に対する重要度などを基準に選定

  • 他職種とのレンジの差はどの程度設けるか?
     → モチベーションを高めつつ、全社バランスにも配慮

  • 該当職種の市場相場との比較
     → 客観的な水準を把握し、採用・定着に資するレンジ設定へ


2. 「専門手当」で職務価値を柔軟に補完する


一方、基本給テーブルは統一運用しつつも、職務ごとの差異を反映したいという企業には、専門手当の導入が有効です。

たとえばベトナムでは以下のような手当が一般的に活用されています:

  • 経理長手当
  • 営業手当
  • スキル手当

特に製造業では、スキル手当を社内スキル認定制度と連動させて運用するケースも多く、専門性を評価しやすく、育成の指針となるだけでなく、処遇の納得感にもつながります。


3. フロント系専門職には「個人業績連動ボーナス」を活用


営業職やリクルーター職、コンサルタント職など、個人の成果が明確に定量化できる職種においては、個人業績連動ボーナスを導入することで、やりがいと貢献意欲を引き出せます。

制度設計上の留意点:

  • 目標の明確化

  • 達成度に応じた支給比率

  • 評価の透明性

このように、専門性が成果に直結する職種では、成果が報酬に反映される実感が定着や活躍促進につながります。


4. 職種に応じて適したアプローチは異なる


ただし、当然ながら、すべての専門職に個人業績連動ボーナスが適しているわけではありません。

製造・IT・エンジニアリング系などの技術職では、チーム単位でのプロジェクト推進が中心となるため、個人単位の成果を明確に切り出すのが難しいケースも多くあります。

このような職種では、以下のような手法が有効です:

  • 職務に最適化された基本給レンジの設計(本記事1の観点)

  • スキル認定に基づく専門手当の設計(本記事2の観点)

  • 査定結果を昇給・昇格に反映する仕組み(本記事1の観点)

つまり、専門職人材の報酬制度は、「専門職だからこれをやればよい」という画一的なものではなく、その職種の業務特性に即したアプローチが求められます。


まとめ


専門職人材に選ばれ、長く活躍してもらうためには、給与水準の高さだけでなく、その専門性や成果がきちんと報酬に反映される制度であることが大切です。

  • 基本給レンジの職種別の最適化

  • 専門手当の活用

  • 個人業績連動ボーナスの導入

  • 査定結果に基づく昇給や昇格の仕組み

といった多様な選択肢を、職種の特性や企業の方針に応じて組み合わせることが、実効性ある報酬制度につながります。

専門職の報酬制度の見直しについて、その他お悩みの観点などございましたら、お気軽にICONICの担当コンサルタントまでお声がけください。

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