2025-07-31

【人事向け実務ガイド】外国人労働者を受け入れるときに必要な準備とは?

グローバル化が進むいま、外国人労働者の採用は企業にとって成長のチャンスであると同時に、社内の多様性やスキル向上にもつながります。2023年末時点で、ベトナムで就労する外国人は約13万6,800人に上り、今後も増加が見込まれます。

とはいえ、外国人を受け入れるには、法的手続き実務面でのサポートが欠かせません。本記事では、人事担当者が対応すべき基本事項を【①法的手続きの確認と準備】と【②スムーズな受け入れのためのサポート】の2つに分けて、実務的に整理しました。

 


① 法的手続きの確認と準備

● 労働許可証(Work Permit)とビザ/一時滞在カード(TRC)

外国人がベトナムで働くには、基本的に以下の書類が必要です:

  • 労働許可証(WP)

  • 就労目的に適したビザ(DNビザ、LDビザなど)または一時滞在カード(TRC)

注意点:

  • 外国人の学歴・職歴が、申請する職種と一致しているかを事前に確認

  • パスポート、学位証明、無犯罪証明書、健康診断書など、必要書類を整備。海外発行書類は領事認証が必要

  • ビザ免除や観光ビザなどで入国している場合、WPやTRCへの切り替えができず、一度出国・再入国が必要になることがある

● 労働契約の締結

  • 一般雇用の場合は、ベトナム労働法に基づく有期労働契約を締結する必要があります(契約期間はWPの有効期間内で設定)

  • 社内異動(intra-company transferee)の場合、契約は法的に必須ではありませんが、税務・銀行手続き上は必要になることがあります

● 社会保険の加入義務

  • WPを取得し、1年以上の有期契約を結んでいる外国人は、ベトナムの強制社会保険に加入する必要があります

  • 社内異動者は社会保険加入の対象外です

● 外国人雇用の定期報告

  • 外国人労働者の利用状況に関する報告は、上半期(7月4日まで)と年間(1月5日まで)に所轄当局へ提出が必要です

  • 提出漏れや期限超過、記載ミスがあると、行政罰の対象になることがあります

 


② スムーズな受け入れのためのサポート

外国人社員の受け入れでは、到着前後のサポートがスムーズな立ち上がりと職場定着のカギとなります。ここでは、実務上取り入れやすく、効果の高い受け入れ施策を具体的に紹介します。

● 住居手配と生活環境の案内

居住エリアの選定アドバイス
物件紹介だけでなく、エリアの特徴(生活利便性・治安・日系コミュニティの有無)や通勤時の交通状況もあわせて案内すると効果的です。特に、通勤時間帯に慢性的な渋滞が発生する道路の有無などは、居住地選定の判断材料として重要です。

信頼できる不動産業者の紹介
外国人対応に慣れた不動産業者をいくつか紹介することで、安心感を持って住居探しを進めることができます。

空港送迎や生活環境の案内
到着日の空港出迎えに加え、住居や周辺施設(スーパー、病院、ATM、バス停など)の案内を行うことで、立ち上がりの不安を和らげることができます。

● 銀行口座・SIMカード開設の実地支援

よくあるトラブル例:

  • 銀行・通信窓口で英語対応がされず、やり取りに苦戦

  • 必要書類を把握しておらず、書類不備で手続きが進まない

  • SIMカード購入時に本人確認でつまずき、開通が遅れる

おすすめの対応:

  • 各手続ごとの必要書類一覧や、あまり混雑しない(または対応が丁寧な)店舗・窓口情報を事前に共有

  • 可能であれば、窓口での手続きに現地スタッフが同行し、ベトナム語でのサポートを実施

● 生活オリエンテーションの実施

提供内容の例:

  • タクシーアプリ(Grab、Vinasunなど)の使い方や注意点

  • 外国語や日本語対応可の病院やクリニックのリスト(急病時対応に備えて)

  • 食材や生活用品の入手場所(ローカル市場、スーパー、コンビニ、日系・外国人向け通販サイトなど)の紹介

  • 買い物や移動時に使える「基本のベトナム語フレーズ」集の配布

● 就業ルールの説明機会を設ける

母国とは「常識」が異なる可能性もあるため、就業上の基本ルールについては、入社初期にしっかり説明する機会を設けましょう。就業規則、評価制度、勤務時間、報告ルールなどをまとめた資料を用意し、口頭と文書の両方で説明することが効果的です。

● 定期フォロー面談の実施

入社直後は、業務理解・人間関係・生活面など、さまざまなストレスが重なりがちです。1週間後・1か月後・3か月後などの節目で、直属上司や人事との面談機会を設定し、業務適応の進捗や困りごとの有無を確認しましょう。

● チームビルディング活動への参加促進

国籍にかかわらず、職場に「受け入れられている感覚」を持てることが、心理的安全性と離職防止につながります。
歓迎ランチや社員旅行などの社内行事に積極的に招き入れ、自然なコミュニケーションの場を提供しましょう。

必要以上の手厚さではなく、「あって助かった」と思われるレベル感の支援がカギです。
こうした支援施策を社内でテンプレート化しておくことで、受け入れのたびに負担なく再現することが可能になります。

ビザや労働許可証の取得、入社準備、定着支援まで、外国人雇用に関するご相談はICONICまでお気軽にお問い合わせください。

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