2019-07-15

人事制度をローカライズする 【第3回】制度導入を見据えたプロジェクトチーム編成

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前回に引き続き「人事制度をローカライズする」というテーマで、今回は、制度導入を見据えたプロジェクトチーム編成の観点をまとめてまいります。

前回までのコラムで述べた通り、人事制度の設計内容面で必要な箇所に適切なローカライズをかけていくことはもちろん欠かせませんが、実はそれ以上に重要なことは、新制度の成功裡の導入を見据えたプロジェクトチーム編成をすることであると言えます。

 

ローカル社員のプロジェクト参加が制度導入の成功を左右する

最終的には、どんなに完成度の高い制度設計ができたとしても、その新制度自体に社員からの理解を得られなかったり、運用を担当する社員が運用しきれなかったり(あからさまに新制度は嫌だと言われるよりは、内容自体はOKと言いつつ、何らかの理由をつけて、なかなか運用にのせない、導入がずれ込む、という無言の抵抗にあうことがケースとしては多い)、ということであると、制度は本来の目的を達成しえず、失敗に終わります。

これは、新制度自体が本社や日本人幹部からのお仕着せと捉えられている場合に起こりがちです。このような制度導入時のどんでん返しを避けるためにも、新制度構築プロジェクトメンバーには、ローカル社員をしっかり取り込んでいく、日本人幹部だけで全てのポリシーを決め切らないようにすることがローカライズを成功裡に成し遂げるためにはとても重要です。

 

メンバー選定はローカル社員からの信頼度が肝

プロジェクトメンバーとして、制度設計段階からローカル社員の目線で意見を出してもらう、それらの意見も加味して設計内容に反映する、そうすることで新制度への当事者意識が高まるものです。この時、どのような基準でプロジェクトメンバーを選定するかというと、日頃の人事業務をこなしている方というよりは、人事制度改革プロジェクトは、経営に直結するテーマを扱うため、経営への理解とローカル社員に対する洞察が深く、現場の押さえがきくようなローカル社員からの信頼が厚い方が最適です。このような方が新制度に当事者意識を持って、新制度導入の旗振り役となり、ローカル社員への説明や、彼らからの質問や意見に経営目線を踏まえて回答してくれる状況が作れたら、プロジェクトの成功はぐっと近づくものです。

ローカルの幹部社員と一緒に設計・導入していくことが、人事制度ローカライズプロジェクトの成功の秘訣です。

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ライター

長浜みぎわ

長浜みぎわ

ICONIC 組織人事コンサルティング部統括部長/取締役/賃金管理士。 横浜国立大学卒業後、日本及びフランスの中小企業を対象とする経営コンサルティング企業にて、新規事業の開拓支援を行う。2006年より青年海外協力隊としてウガンダにて民間職業訓練校における人材育成需要及び労働市場で求められる人材需要に関する調査を実施。2007年に渡越後、三井住友銀行ホーチミン支店にて法人営業を担当。2010年、ICONIC取締役に就任。

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